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食中毒の基礎知識~燻製を美味しくいただくために~

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美味しく安全に燻製づくりを楽しむために・・・一番注意しないといけないのが「食中毒
燻製の多くは口に入るまでの調理期間が長く、雑菌に汚染されるリスクが少なくありません。

一般的に「食中毒」とは、食物に付着した病原を摂取することにより引き起こされる病気の総称でして、

  • サルモネラ菌などの細菌類が原因の「細菌性食中毒」
  • ノロウイルスなどのウイルスが原因の「ウイルス性食中毒」
  • アニサキスなどの寄生虫が原因の「寄生虫性食中毒」 
  • 毒キノコやフグ毒・じゃがいもなどが原因の「自然毒食中毒」
  • 傷んだサバやマグロなどで起きる「ヒスタミン性食中毒(アレルギー様食中毒)」

と種類は様々です。

なかでも燻製生活で一番注意したいのが「細菌性食中毒」です。
ここでは細菌性食中毒を中心に、楽しい燻製生活を送るための基礎知識をまとめておきます。

目次

食中毒となる細菌の種類

細菌が原因の食中毒には、「感染型」と「毒素型」に分けることができます。

【感染型】
食品に付着した細菌が腸内で増殖し、病原となり発症する食中毒。
細菌を免疫が異物と認識し排除しようと反応するので、下痢・嘔吐・発熱の症状が特徴。
体に入ってきたものを熱で弱らせ早く出しちゃおう!って反応ですね。
菌自体が原因なので加熱殺菌すれば基本的には大丈夫です。

【毒素型】
食材に付着した細菌が産生する毒素が原因で発症する食中毒。毒素の種類によって症状は様々。
毒素が原因なので、毒素を産生したあとに加熱殺菌しても無意味。増える前にやっつけるのが基本です。

※なかには両方の性質を持っている厄介な細菌もいます。

主な食中毒の原因菌

【サルモネラ菌】
動物の糞便汚染で感染する感染型食中毒。鶏卵の殻や牛や豚などの解体時に腸の中にいるサルモネラ菌が肉にうつることもある。
主な症状・・・発熱・嘔吐・下痢
菌数は少数でも発症することがあるが、熱に弱いため75℃1分以上の加熱で予防可能。

【腸炎ビブリオ】
好塩性(塩分大好き)の細菌で増殖には1~8%の塩分が必要という特徴がある感染性食中毒。その性質から海産物の食中毒の原因になることが多い。またビブリオが産生する「溶血毒」という毒素型の食中毒を併発することがあり、熱に強い毒素のため厄介
主な症状・・・発熱・激しい腹痛・嘔吐・下痢、血便(溶血毒による)
真水や酸に弱いため、食材を水洗いしたり酢で〆ることで予防可能。

【ウェルシュ菌】
酸素の少ない状況で増殖する「嫌気性菌」という種類の感染型食中毒菌。加熱調理にも耐えるのが特徴。煮込み後一晩熟成させたカレーで下痢はウェルシュ菌が原因。
主な症状・・・腹痛・下痢

【黄色ブドウ球菌】
ヒトの皮膚の常在菌の一種で化膿の原因菌といわれている毒素型食中毒。黄色ブドウ球菌が出すエンテロトキシンは耐熱性毒素のため、加熱調理では取り除けない。
主な症状・・・発熱を伴わない嘔吐・下痢、筋肉痛。

【ボツリヌス菌】
酸素が苦手で無酸素下の状況で増殖する毒素型の食中毒菌。産生するボツリヌス毒素は手足の麻痺や呼吸困難を引き起こす非常に強力な神経毒。菌は加熱に耐えるが、毒素は加熱に弱いため100℃ 2分程度で失活する。
ハムやソーセージなどの加工食品に注意。

【病原性大腸菌】
大腸菌類の中で有害な毒素を産生する菌。感染型と毒素型の両方を持っている。特に腸管出血性大腸菌(例:O-157)が産生するベロ毒素は重症化すると死に至ることもありニュースでも話題に。
主な症状・・・激しい腹痛・下痢、血便(ベロ毒素による)

これらの食中毒菌は特別なものではなく、土壌や人を含めた動物の腸管内など自然界に普通に存在していてしばしば私たちの口の中にも入ってくる菌です。
人間には胃酸や免疫などの防御機能があり、増殖前の小数の菌であれば、その働きにより発症前に細菌を撃退できますが、食品中で増えてしまった細菌が大量に入ってくると人間の免疫では防ぐことができず、食中毒を発症してしまいます。

細菌がいる場所は?

では、目に見えない細菌ですが、食材のどこにいるのでしょう?

答えは食材の表面です。

細菌は基本的に、カビや寄生虫のように食材の組織の内部に自らの力で潜り込んでいくことができません。なので外部からやってくる細菌は食材の表面に付着し、表面で増殖します。
ステーキがレアで食べれる理由はここにあります。表面をしっかり焼いて殺菌してしまえば中は無菌状態ですからね。 でも例外も・・・

肉の表面だけ細菌がいるのであれば、レアでも食べれるステーキですが、実は菌が中に入り込んでしまうことがあるんです。

例えば・・・

筋切りや調味料が浸透しやすくなるよう、包丁や竹串などをプスッと刺すことがしばしばあると思いますが・・・この際、使う器具が細菌汚染されていると、肉の内部に細菌が入り込み内部で増殖してしまう可能性がありますので・・・レアで食べるのは・・・ちょっと怖いです。

肉の繊維を断ち切り柔らかくしてくれる調理器具を使った時は・・・中までしっかり火を通しましょう。

それと同様に、ひき肉やサイコロステーキのような成型肉も、肉の表面を混ぜ込んでいるため内部に細菌が入り込んでいる可能性がありますので、中までしっかりと火を通す必要があります。食中毒予防の観点からするとレアは絶対ダメですね。

最後に、今では食べることができなくなったレバ刺し・・・あれは肉の塊だから表面だけ注意すればいいのでは?と思いますが・・・

レバー(肝臓)には太い血管があちこちに走っていて肝臓の内部には外につながる空洞が多数あります。なので表面が汚染されてしまうと血管を通じて細菌が内部に侵入してくることがあるようです。実際に肝臓の内部から食中毒菌が検出されたという報告があります。レバーは中心までしっかりと火を通しましょう。

燻製づくりの過程で防ぐためのポイント7か条

これだけ読んでいると・・・燻製ヤバしって感じになってしまうかもですが、しっかりとした衛生管理のもと行えばそこまで気にせずできるものですよ。
そこで今までの情報をまとめ、燻製づくりにおける食中毒予防7か条をまとめておきます。

調理器具の殺菌はしっかりと

包丁やまな板などの調理器具には多くの細菌がついています。長期熟成が必要な食材を調理する場合は特に注意して行いましょう。
包丁やまな板はしっかりと洗った後に熱湯をかける加熱殺菌が有効です。

手に傷がある時は燻製作りは控える

食材にふれる手に出血性の傷がある場合、黄色ブドウ球菌が増殖している可能性が大です。黄色ブドウ球菌の毒素は耐熱性毒素のため一度付着してしまうと以降の燻製作業では取り除くことができません。ですので手に傷がある場合は絆創膏を貼っていたとしても燻製作業は控えましょう。

食材は新鮮なものを

スーパーで賞味期限が近く割引になっている食材を見つけると、ついつい手が伸びてしまいますが・・・燻製づくりではなるべく新鮮な食材を使うように心がけましょう。
調理期間が長い燻製づくりだからこそ新鮮な食材を使うことが大切です。

細菌が繁殖しやすい温度は避ける

細菌が最も増殖しやすい温度は30~40℃くらいですが、増殖の適応範囲は10~60℃とかなり広いです。
細菌は熱に弱いため高温で死滅させることが可能ですが、低温には強く、マイナス50℃以下で凍結させても、解凍後には再度増殖し始めることが知られています。

10℃以下・・・細菌の増殖は穏やかになるものの死滅はしない。凍結状態でも解凍すると増殖し始める。

10~60℃・・・細菌が増殖する温度。至適温度は30~40℃付近。この温度帯での長期間保存は注意

65℃以上・・・細菌は数十分で死滅

75℃以上・・・細菌は数分で死滅

100℃以上・・・細菌は数秒で死滅

【例外】
ウェルシュ菌・・・100℃で4時間以上
ボツリヌス菌・・・115℃で20分以上 の時間が必要

燻製づくりの調理期間が長ければ長いほど、細菌の増殖しやすい温度帯を避けて調理することが大切です。燻製は夏場でもできないことはないですが、どちらかというと冬向きの料理ですね。

調理過程で様々な殺菌対策を

先人の知恵で燻製は食材の保存手段のひとつとして使われてきました。しかし、ただ燻せば保存食になるわけではなく、塩蔵や脱水・加熱など様々な工程が絡み合うことで保存食として完成します。

燻製作りの殺菌対策

【加熱殺菌】
ウェルシュ菌のように耐熱性のある菌もいますので100%ではないですが、熱を加えることは食中毒予防に一番有効な方法です。細菌の多くは75℃以上に加熱すると数分で死滅するといわれています。
温燻の至適温度は60~70℃ですが、65℃付近でも時間をかければ殺菌は可能です。 しかし安全面を考えると、75℃付近の温度帯を数分間作ってあげるとより安心ですね。

【塩分で殺菌】
細菌類は高塩分濃度環境下では浸透圧の関係で細胞内の水分が維持できず正常に活動できなくなります。腸炎ビブリオのような好塩菌でも極端に高濃度の塩分では増殖が抑えられるようになります。 ソミュール液等で塩漬けするときは中途半端な塩分濃度にせず、20%以上の塩分濃度になるよう調整しましょう。

【真水で洗う】
腸炎ビブリオは好塩菌のため、塩漬けに強いですが、真水には非常に弱い特徴があります。腸炎ビブリオが原因になりやすい魚介類は調理開始前に真水で洗うことも食中毒予防に有効な手段です。

【脱水で殺菌】
細菌が生き抜くためには水分が必要です。食材の中には、結合水と自由水の2つがあり、このうち自由に使える自由水の量を減らすことで細菌の増殖を抑えることができます。

【煙の成分で殺菌】
煙の成分の中にはカルボニル化合物やフェノール化合物などの殺菌成分が含まれています。ただし使う燻製材の種類などにより有効成分の濃度にはムラがあり、殺菌に有効な正確な時間などはわかっていません。あくまでも補助的なものと考えたほうが良いです。

肉の内部に菌が入り込まない作り方を

ベーコンなどの固まり肉を燻製にするとき、フォークなどで肉にプスプス穴をあけますが、前述のとおり内部に細菌が入り込み増殖する恐れがあるので、使用する器具は清潔に。心配であれば肉に穴はあけないようにしましょう。

怪しいときは捨てる勇気 !

調理過程で少しでも怪しいと感じたら・・・食べるのはやめましょう。
食中毒は重症化してしまうと命に係わる危ない病気です。ちょっとくらいという無謀な勇気よりも、食べすに捨てる勇気のほうが大切です。

まとめ

いかがでしょうか?
食中毒は怖い病気ですが、衛生管理をしっかり行えば防げる病気です。
以上のことを踏まえて楽しい燻製ライフをお過ごしくださいな~ ^^) _旦~~

※ソーセージ系を作りたい人はこちらも参考にしてください。

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この記事を書いた人

DIYやアウトドア、料理が大好きなおっさん薬剤師。化学は好きだけど添加物は嫌いです。なので手作りが大好き!
家族が喜ぶいろんなレシピを公開中です。

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